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西国札所東京出開扉

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西国札所東京出開扉

「出開扉(でがいひ)」とは、「出開帳(でがいちょう)」と同じ意味で、寺の本尊をよそに出して開帳すること。
ここでは、昭和10(1935)年に行なわれた、西国三十三所の東京での出開扉について述べる。この出開扉は、非常時護国祈願ならびに関東大震災物故者十三回忌追善供養として行なわれた。

主催:西国札所東京出開扉奉讃会
後援:京浜電気鉄道株式会社、東京横浜電鉄株式会社
日時:昭和10(1935)年10月10日-11月11日(33日間)

この出開扉には、1番から33番の札所のほかに番外札所の花山院菩提寺も参加している。会場は、次の13か所にわかれていたが、鉄道を使えば1日ですべての札所を回ることができた。

札所会場最寄駅
番外花山院京浜品川駅特別室京浜電気鉄道
1番善福寺北品川駅
2番法禅寺
3番-4番品川寺青物横丁駅
5番-6番海雲寺
7番-10番平間寺川崎大師駅
11番東福寺花月園前駅
12番花月園本館貴賓室
13番花月園内弁財天堂
14番-16番弘明寺弘明寺駅
17番-19番金蔵寺日吉駅東京横浜電鉄
20番-29番九品仏浄真寺九品仏駅
30番-33番祐天寺祐天寺駅

集印帖No.45集印帖No.95 には西国三十三所の印が押されているが、この東京出開扉のときの印と思われる。
また、集印帖No.74の裏側23ページには、西国札所東京出開扉奉讃会による西国三十三札所東京出開扉記念のスタンプが押されている(図1)。

図1 集印帖No.74の裏側23ページ
/shuincho/074/074b021#i074b023

当時の新聞広告(図2)によると、西国札所東京出開扉奉讃会による観音奉讃会の会費は1円20銭で、会員の特典として次のものがあった。

  • 納経帳、案内記各一冊進呈
  • 巡拝乗車券引換証進呈
  • 会員先祖累代の御回向

図2 「東京日日新聞」昭和10(1935)年9月24日 夕刊 4面より


このうち、当方は納経帳をもっているが、京都の津久間金龍堂によるもので、表面38ページ、裏面38ページ。編輯者は西国札所東京出開扉奉讃会の代表である山中見道。そして表側2ページには「西国札所東京出開扉記念会員章」の印が印刷されている(図3)。

図3 納経帳 表紙、表側2ページ、奥付


ページの構成は、右ページに札所の説明、左ページには札所の本尊などの墨書きが印刷されていて、その上に印を押すようになっている(図4)。

図4 納経帳 1番札所青岸渡寺


 参考文献

觀音靈場西國丗三札所出開扉. 東京日日新聞. 1935.9.24, 夕刊, 4面.
加藤咄堂. "第四 日本篇 十五章 西國、阪東札所東京出開扉 二 西國三十三札所東京出開扉". 観音全集. 第7巻. 有光社, 1940.8, p.327-330, https://dl.ndl.go.jp/pid/1218571/1/170

2020年7月30日作成 [寺と神社]

最終更新時間:2023年05月03日 19時50分37秒